手動ステージ 関連

手動ステージ 関連

アリ(D-T方式)

■構造
軌道面として転がり接触ではなく、台形状のオスアリとメスアリのアリ溝機構を採用したすべり接触の案内です。

■特長
案内部はすべり接触ですので、オスアリとメスアリの摺り合わせを行い、滑らかに摺動するように組み立てられています。
当社ステージでは、主として駆動機構にラックピニオン方式を用いています。他のステージに比べ、長ストロークで安価です。

■用途
精度をあまり要求しない、単なる位置決め用のステージに採用しています。低倍率顕微鏡、観察用TVカメラの焦準装置や、試料の位置合わせに最適です。

V溝レールと鋼球(V-B方式)

■構造
軌道面として向き合った2本のV溝レールに鋼球を配列させ、鋼球がV溝を転がりながら移動する案内です。

■特長
V溝レールは焼入れ硬化後、高精度研削加工が施され、高い平行度、平面度となっていますので、真直度の良い案内が得られます。
移動精度は、V-CRと同等で、耐荷重は、N-Bよりも良くV-CRより少し劣ります。

■用途
光学実験などにおける精密送り、精密微調整位置決めなどに最適です。

V溝とクロスローラ(V-CR方式)

■構造
軌道面として向き合った2本のV溝レールにローラを交互に直交して配列させ、ローラがV溝を転がりながら移動する案内です。

■特長
V溝レールは焼入れ硬化後、高精度研削加工が施され、高い平行度、平面度となっています。ローラは円滑な動作ができるよう、鏡面に近い特殊仕上になっており、径のバラツキも不均一さもなく、非常に高精度な案内が得られます。構造上、V溝とローラが線で接触しているため、高精度な移動精度と大きな耐荷重が得られます。

■用途
高精度、重荷重用の精密位置決めステージに採用しています。光学実験などにおける精密送り、精密微調整位置決めなどに最適です。
各種生産機械、検査装置における精密な位置決めや測定などに使用できます。装置における精密な定量送り、あるいは移動量の測定など測長的な使用ができます。

V溝とクロスローラ(HG-VCR方式)

■構造
鉄鋼焼入れ材のレールにV溝研削加工し、2本一対のレールをV溝同士が向き合うように配置し、そのV溝にローラを90°交互に配列して、それをニ対(レール4本1組)で使用するガイドレールです。
精度はもちろん剛性でも最上級のガイドレールです。

■特長
当社では、ステージのコンパクト化、剛性アップという客様のご要望を受け、クロスローラガイドの更なる性能向上を目指し、まったく新しい発想の新型ガイドレールを開発しました。レールの高さ寸法の限界までローラ径を大きくし、ローラ同士の配列の間隔も極限まで狭くして配列数を増やして、リテーナで保持しています。高い予圧がかけられ、コンパクトで超高剛性です。

■用途
当社の新しい自動ステージ、手動ステージに採用しています。各種センサ、カメラなどの精密位置決めの他、各種生産機械、検査装置における精密な位置決め、測定などに使用でき、ある程度の偏荷重のかかる用途においても、安心してご利用いただけます。
 
 

傾斜ステージの駆動機構について

光ピックアップ調整装置やディスク製造装置などの角度調整を必要とする分野で広く利用されている傾斜ステージに新たな駆動機構を採用しラインアップしました。
その駆動機構はこの度当社で開発しました「複合カップリング機構 CCM」で、今までの傾斜ステージの持つ問題点を解決し、高精度、高分解能、耐久性、駆動トルクの向上を実現しました。

複合カップリング機構の概要

この「複合カップリング機構」は、傾斜ステージの駆動機構として、当社における従来のウォームギヤに替わり、送りねじを採用しました。
その送りねじと傾斜部分を「直進運動を角度運動に変換する部品」で連結することにより、送りねじの描く直線軌道が傾斜部分の描く円弧軌道に伝達する機構になっています。
この機構を採用することで精密ねじの長所を生かすことができ、その結果、高分解能・滑らかな動き・耐久性が可能となりました。

従来技術と問題点

■ウォームギヤ方式
ウォームホイールとウォームギヤによる一般的な駆動機構です。傾斜ステージでは上テーブルの一部をウォームホイール形状にし、ウォームギヤで駆動させています。この機構は、一定量のバックラッシュを持たせるか、十分なラッピング調整を行わないと、動作時にウォームギヤが重くなったり、ウォームギヤの偏心により回転トルクムラが出ることがありました。また、ウォームホイールとウォームギヤの摺動面が少ないため、耐磨耗性にも問題がありました。

■アクチュエータ+ばね方式
アクチュエータとばねを使用した一般的な微動傾斜ステージに採用されている駆動機構です。アクチュエータで上テーブルを押し出し、ばねで上テーブルをアクチュエータ側に戻してバックラッシュを無くす機構です。この機構は、ばね力が強いとアクチュエータにかかる負荷が重くなり、駆動時の負荷が大きいとテーブルが重くなったり、ばね力が弱いとテーブルが戻らなくなる問題がありました。

複合カップリング機構の特長

「複合カップリング機構」の駆動は送りねじと特殊な連結部品を採用しているので、従来技術に対し次のような特長があります。

・ウォームギヤ方式に比べ高分解能です。
・特殊な連結部品の自由な動きにより、回転ムラを吸収します。
・駆動トルクが小さいので、滑らかな動きが実現できます。
・ ウォームギヤより摺動面が多くできるので、耐久性を向上できます。
・ばねを使用しないので、確実な送りが実現できます。
・ 送りねじのリードを変更することにより分解能や移動速度の変更が可能です。
 

位置決め誤差について

直線軌道を円弧軌道に変換しているため、送りねじの移動量と実際に動く傾斜部分との間にタンジェントカーブに沿った角度誤差と送りねじと傾斜部分の距離にサインカーブに沿った角度誤差が存在します。しかし、現実には移動量±3°以内での位置決め誤差は微小で、移動量±5°以内でもウォームギヤ方式の位置決めより少なくなります。また、補正を行うことによって高い位置決め精度を実現することも可能となります。
※誤差は送りねじで1㎜送ったときの角度0.573°を基準にしたときの誤差です。
上記の値は次の計算式で求められます。
   送りねじと傾斜部分の距離での位置決め誤差(nは送りねじの移動量)
     位置決め誤差=sin⊖(1 1㎜/100㎜)×n-sin⊖(1 n/100㎜)
   移動量と実際に動く傾斜部分での位置決め誤差(nは送りねじの移動量)
     位置決め誤差=tan⊖(1 1㎜/100㎜)×n-tan⊖(1 n/100㎜)

特許について

この「複合カップリング機構」は「テーブル姿勢調整装置 特許第3848304号」として特許登録されました。

■複合カップリング機構を採用したステージ
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