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干渉と干渉縞について

干渉は、2つ以上の光が同一点で重なり合い、互いに強めあったり弱めあったりする現象です。
干渉縞は、干渉により生じる明暗の縞です。
(光の干渉を利用して干渉縞を作り、その干渉縞から種々の情報を解析するために構成される光学系の装置が干渉計です。)

1つの光源から出た光がある1点で重なり合う(干渉する)とき、その点での様子を波動として考えると次のように説明できます。
重なり合う2つの波動の位相が同じ(山と山、または谷と谷の周期が同じで、ある時刻における周期的な変動が同じ)ときには互いに強めあい、位相が逆(山と山、または谷と谷の周期が同じであっても、ある時刻における周期的な変動が半周期分ズレている)のときには互いに弱めあいます。
重なり合う2つの波の位相が異なる(山と山、または谷と谷の周期が同じであっても、ある時刻における周期的な変動がズレている)ときには互いの位相の差に応じて強めあったり弱めあったりします。

波動が互いに強めあう、ということはその位置では重なり合う前よりも振幅が大きく(山が高く)なります。互いに弱めあう、ということはその位置では重なり合う前よりも振幅が小さく(山が低く)なります。

光が互いに強めあう、という場合ではその位置では重なり合う前よりも明るくなります。光が互いに弱めあう、ということはその位置では重なり合う前よりも暗くなります。

今度は水面の波のように広がりのある、面として重なり合う様子を考えると次のように説明できます。
波の山が連なる線を実線、谷が連なる線を破線、2つの波が重なり合うときに山と山が重なる位置をマーク○、谷と谷が重なる位置をマーク●、山と谷が重なる位置をマーク×で表します。
山と山(マーク○)、谷と谷(マーク●)では互いに強めあい、山と谷(マーク×)では弱めあいますので、○と●を結んだものは強めあった部分、×を結んだものは弱めあった部分となります。
2つの波が重なり合う(干渉する)ことで強めあった部分、弱めあった部分が交互に生じるパターンができます。このパターンが干渉により生じる干渉縞になります。
 
レーザー光のように広がりの少ない光が面として重なり合う場合でも、同様に強めあった部分、弱めあった部分が交互に生じて干渉縞ができます。
 
干渉縞は使用する光の波長、重なり合う光の交差角によりその間隔(干渉縞の間隔)が決まります。
d:干渉縞の間隔 λ:使用する光の波長 θ:重なり合う光の交差角 とするとき
d=λ/2sin(θ/2)
この式より、交差角θが大きいほど、また、使用する波長が短いほど干渉縞の間隔dが小さく(狭く)なります。
例としてλ=0.6328μm・θ=180°のときd=0.3164μm、λ=0.6328μm・θ=90°のときd=0.4475μmとなります。
干渉縞の間隔を1mmにしたいという場合には、交差角θ=0.036°にする必要があります。

レーザー光は干渉させる、干渉縞を作るのに理想的な光です。
(直線偏光出力のレーザー光源からの)レーザー光は通常数百mmの可干渉距離を持っていますので、干渉計をはじめとして、ホログラフィなどに利用されます。
このとき、直線偏光化されたレーザー光でないと干渉させたり、干渉縞を作ることができません。
また重ね合わせる2つの光が同じ偏光状態である必要があります。直線偏光出力のレーザー光を偏光素子(偏光ビームスプリッタ等)で偏光成分(P偏光とS偏光)で分けてしまった場合には、同じ偏光状態に戻す必要があります。

直線偏光出力のレーザー光を利用する場合でも、2台のレーザー光源を使用しても干渉させることはできません。
1つのレーザー光源から出たレーザー光を2つに分けて、レーザー光の可干渉距離以内の光路長差で再び重ね合わせる必要があります。

干渉縞(等厚干渉縞)の評価について

隣り合った干渉縞の間の光路差は光の波長の1波長分に相当しますが、試料面からの反射光は往復していますので試料面での高低差としては1/2波長分になります。したがって、He-Neレーザーを使用している場合、λ =0.6328μmなので隣り合った干渉間が表す試料面の高低差λ/2=1/2×0.6328μm=0.316μmになります。一般にミラーの面精度を表現するのにλ/4とか、λ/10とかいいますが、これはオプティカルフラットやニュートンゲージにより白色光でニュートリングを観測して評価しており、このときの基準波長はHgの輝線スペクトルである、λ=0.546μmを意味します。
鏡面に仕上げられた測定ミラーの表面は一般になだらかな凹凸状になりますが、このときの縞模様は次の図のように観測することができます。
 
 
もちろん、実際にはもっと複雑に、地図の等高線状になりますが単純な凹凸面はこのような縞模様になります。傾斜面も波状面も直線状の模様ですが、傾斜面の場合、面を光軸に対し垂直にすると全面同じ明暗になりますが、波状面の場合は縞は1色にならず、また傾ける方向により直線状にはなりません。凹面も凸面も同じ縞模様ですので、凹か凸かの判定をするときは、片側をわずかに持ち上げて傾けます。持ち上げた点に縞の中心が移動する場合は凸面であり、持ち上げた点から縞の中心が逃げる場合は凹面と判断します。また、平行に持ち上げるとリング状の縞が中心からわき出てくるときは凸面で、吸い込まれていくときは凹面ですので、波状面のときや凹凸が組み合わされているときにはミラーを微小に前後させて判断することもあります。以上の評価は縞が数本以上あるときに行いますが、1本以下になると次のような評価方法を行います。
つまり、リファレンスと試料ミラーを平行にすると1色になってしまう場合、試料ミラーをわずかに傾けますと、傾斜方向に従って直線状の縞模様が現れます。縞の本数が5本ならば、このときの傾き角αはミラーの大きさをφ50㎜とすると、
α=Tan-1(1/2×0.6328×10-3×5)/50≒6.5”になります。
 
AB間において凹状にhだけ歪んでいる場合、直線がわずかにカーブしますが、この時の歪量hは(b/(2a))・λとなります。このときも凸状ならば、持ち上げたほうにカーブの中心ができます。また、以上はY-Y’方向に傾いてのAB線状での歪みですが、他の縞によって他のポイントとの歪みを知ることができます。さらにY-Y’方向に傾けてX-X’方向に歪みを見ることができ、同様に他の方向に傾けたりして、全体の歪みの状態を判断し、最も悪い方向での値をもって面精度とします。

フレネルホログラフィ

フレネルホログラフィでは、物体光と参照光を感光材料に同一方向から入射させ、干渉縞を記録する光学系を作ります。
干渉縞を記録・現像処理したホログラムを撮影した参照光と同じ光で照明すると、ホログラムの奥、撮影物体の置かれていた位置に再生像(虚像)が現れます。

マイケルソン干渉計

マイケルソン干渉計は、スペイシャルフィルタで拡大された光束をそのままビームスプリッタで2つに分割します。
2光束はミラーへそのまま進み、反射された後ビームスプリッタで重ね合わされます。
この時ビームスプリッタ以降の光路で、スクリーンに到達するまでの光路差により干渉縞が生じます。
得られる干渉縞は2光束の光路差が、使用光源の1/2波長に相当するとき変化します。

マッハツェンダー干渉計

マッハツェンダー干渉計は、スペイシャルフィルタで拡大された光束をコリメーティングレンズで平行光とします。
最初のビームスプリッタで分割された2光束は光路を往復することなく進み、2つ目のビームスプリッタで重ね合わされます。
一方の光路に試料を入れると試料の状態を示す干渉縞が生じます

フィゾー干渉計

フィゾー干渉計は、スペイシャルフィルタで拡大された光束をコリメーティングレンズで平行光とします。
ビームスプリッタはスペイシャルフィルタとコリメーティングレンズの間に置かれます。
平行光束中に基準平面と試料ミラーを置くと反射光で干渉縞が生じます

シュリーレン光学装置とシュリーレン法について

シュリーレンは光学用語では脈理(光学ガラスなどの内部に存在する屈折率の不均質な部分)の意味があります。
ドイツ語で條痕とか縞という意味です。
シュリーレン法は光の屈折を利用してわずかな屈折率の変化を明暗の差として表します。
シュリーレン光学装置はシュリーレン法を利用した装置です。

シュリーレン法では、明るさやムラのない均一な平行光束中に散乱や屈折などの光学的な不均質のある透明体(被写体)を置き、レンズで焦点を結びます。
レンズの焦点位置にナイフエッジを置き光を遮ると暗くなりますが、不均質な部分や気泡などがあると光路に乱れが生じ、暗くなったなかで明暗のコントラストが高められます。

シュリーレン法はガラスなど透明体の光学的な屈折率の変化だけでなく、風洞実験などで超音速や衝撃波など気体の流れに生じる変化、ガス噴射や燃焼・爆発など気体や液体の密度差を可視化する場合にも適用することができます。
シュリーレン法の特徴は1. 平行光を使用すること、2. ナイフエッジを使用すること、です。

1. 平行光を使用
平行光束中にある(被写体である)透明体の屈折率や気体の密度に差(不均質)があると、平行光に乱れができます。この乱れをシュリーレンとして観察(可視化という言葉をよく使用)します。平行光を利用することで、ナイフエッジと組み合わせて乱れをはっきり観察することができます。

2. ナイフエッジを使用
平行光に乱れがない場合、ナイフエッジを置き(レンズの焦点位置で)光を切っていくと暗くなりますが、平行光に乱れがありナイフエッジ側に光が乱れるとより暗く、ナイフエッジと反対側光が乱れると明るくなります。
また、ナイフエッジは屈折率(密度)の変化ができる反対方向から光を切ると明暗のコントラストがよりはっきりします。ライターの炎やアイロンの熱など空気が上昇するような密度変化では、ナイフエッジを水平にして上から下へナイフエッジを切るとより明暗がはっきりします。超音速や衝撃波など横方向に密度変化がある場合には、ナイフエッジを垂直にして変化している方向の反対からナイフエッジを切っていきます。
シュリーレン法で観察(記録)するときに重要なのは③光学系配置です。

3. 平行光を集光するレンズ2(L2)と被写体(Obj)までの距離(La)、レンズ2(L2)の焦点距離(f2)
との関係で3通り考えられます。
 
レンズ2と被写体までの距離(La)がレンズ2の焦点距離(f2)より遠い:La > f2
La > f2の条件で、La=2000mm、f2=1000mmのときにはL2から2000mmの位置(観察者側)に実像ができます。
実像はその位置にスクリーンを置けばそのまま観察できますが、使用するレンズ2の焦点距離(f2)、被写体の位置によりかなり遠くにできます。ちなみにLa=1500mm、f2=1000mmのときにはL2から3000mmの位置(観察者側)に実像ができます。
Laがf2に近いほど実像はより遠くに、倍率が大きくなります。
実像の位置にカメラを置けば記録することもできますが、像の倍率により全て記録できない場合もあります。
カメラ記録にはレンズ3(L3)を使用しますが、レンズ2とレンズ3の合成光学系となり、配置とともに像の倍率も計算しなければなりません。
これは、ニコンFマウントやCマウントなどレンズとカメラを固定した状態(レンズを取り付けると像ができる位置が決められている)では焦点が合わせられず、接写などで見られるレール(ベローズ)を利用した焦点合わせ機構が別に必要になります。
 
レンズ2と被写体までの距離(La)がレンズ2の焦点距離(f2)と同じ、または近い:La = f2、La < f2
La = f2の条件では、像は無限遠となります(La、f2によらない)。
La < f2の条件で、La=500mm、f2=1000mmのときにはL2から-1000mmの位置(被写体側)に虚像ができます。
La ≦ f2では無限遠または虚像になりますので、レンズ2だけでは実像ができません。もう1つのレンズ3(焦点距離f3)で被写体の実像(観察者側)を作ります。
レンズ3によりスクリーンに映すことも、カメラを置いて記録することもできます。
La = f2のとき像の倍率はレンズ2とレンズ3の焦点距離の比(倍率m=f3/f2)で決まります。レンズ2とレンズ3が同じ焦点距離ならば倍率等倍、レンズ3の焦点距離が半分ならば倍率0.5倍となります。スペースに合わせて、また必要な倍率に合わせてレンズ3の焦点距離を選ぶことができます。
 
 
La = f2では単体のレンズでスクリーンに像を映すだけでなく、ニコンFマウントやCマウントなどレンズとカメラを固定した状態で使用しても像に焦点を合わせることができます。
またLa < f2では単体のレンズでスクリーンに像を映すだけでなく、カメラ用レンズの最短撮影距離に注意すればニコンFマウントやCマウントなどレンズとカメラを固定した状態で使用しても像に焦点を合わせることができます。

レンズ2が集光レンズではなく凹面鏡であっても同様に考えることができます。

ホログラフィ関連データ

ホログラフィ関連データとして「ホログラフィ用感光材料のテクニカルデータ」、「中央精機のホログラフィ 改訂5版」を収録しています。

■ ホログラフィ用感光材料のテクニカルデータ
各種ホログラフィ用感光材料のテクニカルデータ(分光吸光度特性、露光特性)を収録。当社で取り扱っているホログラフィ感光材料の選択にお役立てください。
PDFデータ (約270KB)

■ 中央精機のホログラフィ 改訂5版
基本原理からホログラムの撮影・現像方法、現像液、漂白液の処方まで、必要となるテクニカルデータを収録。当社で取り扱っているホログラフィ感光材料をご使用の際にお役に立ちます。
PDFデータ (約612KB)

トワイマン・グリーン干渉計

トワイマン・グリーン干渉計は、スペイシャルフィルタで拡大された光束をコリメーティングレンズで平行光とします。
ビームスプリッタで分割された2光束はミラーへそのまま進み、反射された後ビームスプリッタで重ね合わされます。
この時ビームスプリッタ以降の光路で、スクリーンに到達するまでの光路差により干渉縞が生じます。
得られる干渉縞は2光束の光路差が、使用光源の1/2波長に相当するとき変化します
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