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精密除振台の選び方

卓上型除振台 デスク型除振台 定盤型除振台
事務机や作業台の上で、そのまま利用できる手軽な除振台です。軽量・コンパクトで、しかも薄型タイプのため持ち運びも簡単です。 空気ばねまたは特殊防振材を内蔵した除振台です。特に空気ばね式は自動レベル調整器付で荷重変動が生じても自動的に水平に保ちます。 空気ばねまたは特殊防振材を内蔵した除振台です。各定盤との組み合わせで、サイズが広範囲に選べます。
適用例:
光学顕微鏡、粗さ計、各種計測機、
秤量機器など
適用例:
真円度測定器、ウェハー、線幅測定器、IC顕微鏡、硬度計など
適用例:
光学実験など

除振について

除振(防振)の効果は、数値的には床振動の振動数fと防振材で指示された系の固有振動数fnとの比によって定められます。
支持系の固有振動数fnが小さいほど、すなわち振動数比f/fnが大きいほど、除振効果は一般的に良好です。
振動の単位
振動の単位として、一般に変位(振幅)、速度、加速度が用いられます。
これらの間には次式の関係があり、この換算式を図-1に示します。

1.変位(㎛) A={α÷(2πf)2}×104
2.速度(㎜/sec) V=A×2πf÷103
3.加速度(cm/sec2) αgal=A×(2πf)2÷104

注)
A =片振幅㎛
1G=980gal
1gal≒1cm/sec2
Tr=|1/1-(f/fn)2|×100%
fn=1/2Trπ{(n・k)/W}1/2
Tr=振動の伝達率:%
f =強制振動数:㎐
fn=防振系の垂直方向固有振動数:㎐
n =防振材の個数
k =防振材のばね定数:N/m
G =重力の加速度:980cm/sec2
m =機械の質量:kg
防振支持系の固有振動
防振支持系には、図-2に示すように6種の固有振動があり、それぞれ固有振動数を有しています。回転の固有振動数は、支持機器の形状などにより定められますが、一般に上式の垂直方向固有振動数の2倍以上になるので振動伝達率の計算に当たっては注意してください。振動数f/fnと振動伝達率の関係の理論値を図-3に示します(なお、実際の伝達率曲線は機器自体の固有弾性振動、周囲の音圧、風の影響などにより、理論値どおりとはならず、くずれた曲線になります)。

サーボシステム

サーボシステムの基本構成例を下に示します。フレーム上に設けられたサーボマウント(空気ばね)で定盤を支持しています。図-1に、基本配管系統図を示します。空気源からフィルタレギュレータを通り除振台に供給された圧縮空気は、3か所の自動圧力調整器を通り空気ばねに給気されます。定盤のレベルは自動圧力調整器に検知され、自動的にレベルの設定が行われます。
 
1. 自動圧力調整器
自動圧力調整器には各種の形式がありますが、標準除振台に使用しているタイプを図-2に示します。この自動圧力調整器は、内部に空気のシール部品として極めて小さなダイヤフラムを内蔵しています。Oリングなどの摺動部品がないため、半永久的な寿命を保有します。粗動調整ボルトまたは微動調整ボルトを時計方向にひねり、カンチレバーを下方に変位させると空気ばねに給気され、定盤のレベルが上昇します(下降の場合、反時計方向)。この調整により定盤のレベルを設定すると、負荷荷重変動などで定盤にレベルの変動が生じても、自動的にレベルの補正を行います。

2. 空気源および配管
空気ばねシステムは、一般に0.5MPaまでの空気源を必要とします。工場などの空気源を利用できますが、必要に応じてベビーコンプレッサを使用します。除振台に傾斜が発生し、自動圧力調整器から空気の供給、排出が行われる場合、その消費量は増大します。空気ばねシステムへの空気供給口に、ドレン抜き機構付きフィルタレギュレータが取り付けられています。このフィルタレギュレータへの供給空気圧上限は1MPaまでですから、空気源圧がこれ以上の場合は減圧してください。工場などの空気源からの供給口は、PT-1/8雌ねじとしてください。

除振効果の測定

精密除振台に要求されるユーザーニーズに応え、さらに高性能な除振台を開発すべく、各種高性能振動計・振動構造解析機(FFT、モーダルアナライザー)、コンピューター等を利用し、解析に役立てています。以下に図-1~図-3の解析例を示します。

振動伝達率
図-1は、大型加振実験台を使用し、測定した振動伝達率を示します。本解析方法は、精度よく振動伝達率等の測定を行う方法です。実機搭載時にはモーダルアナリシス・振動許容値の確認等が行えるメリットもあり、また、周波数・加速度、振幅等を自由にコントロールできます。そのため、いかなる場合においても、周囲の環境に影響されず、精度および再現性よく測定が可能です。
 
図-2は、床上に除振台をセットし、暗振動において測定を行った実験例で除振台の床上と定盤上の加速度のスペクトラムを示しています。この解析方法はFFTにより、ある時間におけるスペクトラムの平均値を求めたもので、床の加速度レベルより、除振台上の加速度レベルが、共振点付近を除いて低いレベルを示しています。
図-3は、図-2で示した暗振動測定の振動伝達率を示しています。この図は、共振点においても、低い共振倍率でダンピングが利いている空気ばねの特長を示しています。また、0デシベルより下の部分が除振領域を示しており、低い周波数により効果があることがわかります。

定盤の特性

1. 各定盤の特長
精密除振台の定盤として、①スチールコアー定盤、②石定盤、③鋳鉄定盤、④鋼材+コンクリート定盤の4種類を用意しています。
これらのうち、スチールコアー定盤は主に光学実験用として、石定盤および鋳鉄定盤は精密機械・部品組付用に使用されています。
またスチールコアー定盤のうち、定盤のコンプライアンス(動的特性)をおさえたい場合には、減衰付スチールコアー定盤SHDシリーズをご使用ください。同様に、共振周波数をあげる場合には、同じ曲げ剛性を持っている定盤では軽量であることが必要になりますが、コアの質量は定盤質量の5~10%と軽量なため、上下面板を厚くするよりもコア高さ(定盤厚み)を増やすことが必要と思われます(当カタログ記載以外についてはお問い合わせください)。

長所 短所
スチールコア定盤 1)軽量 2)高い静的、動的剛性(減衰付) 1)平面度
3)形状自由度 4)着磁性 2)外乱(風圧、音圧)に影響を受ける
5)タップ加工 6)複合的に減衰を付加可能
石定盤 1)平面度 2)質量効果 1)着磁性
3)長期安定性 4)耐摩耗性 2)タップ加工が高価
鋳鉄定盤 1)安価 2)平面度 1)減衰
3)形状自由度 4)タップ加工 2)錆
5)質量効果 6)着磁性
コンクリート定盤 1)安価 2)大型構造物 3)質量効果 1)均一性 2)吸湿性 3)経年変化
2. 曲げ剛性
図-1に、SHD型スチールコアー定盤の曲げ剛性E(I 長手方向を曲げる)を1としたときの、鋳鉄箱定盤、黒みかげ石定盤の曲げ剛性の対比を示します。
3. 1次固有振動数
図-2に、SHD型スチールコアー定盤の幅方向1次固有振動数と、他の定盤の1次固有振動の値を示します。図中の( )内の数値は計算に使用したそれぞれの定盤の厚さで、一般的製品の代表値を示しています。
4. 振動特性
下表の、各種素材の振動減衰特性を示します。この特性値は、テストピースによる測定比較値であり、実製品では減少が示されています。なお、減衰特性を付与していないSH型スチールコアー定盤は、SPCCの値とほぼ等しくなります。

◆ 各種素材の振動減衰特性

SHD型定盤 鋳鉄(FC-20) 鋼材(SPCC)
みかげ石
損失係数 0.23 0.04 0.02 0.04
共振倍率 4.3 25 50 250
5. 定盤質量
図-3に、定盤奥行1m当たり各種定盤の質量例を示します。定盤の厚さは、1次固有振動数のグラフの( )内の数値を採用しています。
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